Home > column > Vol.51「長いお休みの前に」

Vol.51「長いお休みの前に」

 意味深げなタイトルですみません。明日から大型連休だねえってことなんですが。

 今年に入ってから更新のペースが著しく遅れており、このコラムを楽しみにしている方がたからは多くのお嘆きおよびお叱りをいただいております。ほんと申し訳ありません。ですが、生まれついての文章好きの私がなかなか新コラムをアップできずにいるのは、それ相応の理由があると好意的に解釈していただけないでしょうか。虫が良すぎますか。 

 さて、秘書がすこし書いているようですが、このところ私はライブ・パフォーマンスをよく観に行っています。なかでも興味深く観入ったのは丸の内のコットンクラブで立て続けに鑑賞したドウェレイとアトランティック・スターでした。

 ドウェレイについては、デトロイトのヒップホップ・シーンをレプリゼントするスラム・ビレッジ人脈の彼が、コットンクラブのような、ともすればスノビッシュな雰囲気を醸しだす異国の空間でどんなステージを披露するのかという一点に興味がありました。ここ数年のエリカ・バドゥがそうであるように、ターンテーブルを操りながら歌うという演出で自分の出自と世代をアピールするドウェレイ。現在の彼にアルバムの3、4倍もの値段の入場料をとるだけのバリューがあるかどうかは正直疑問です。がしかし、20代とおぼしき若い観客たち(みなさんリッチですな~)はその落差を自ら埋めるかのように主体的に「参加」していました。「鑑賞」ではなく。その証左となるのが、パフォーマンス後のサイン会にできた長蛇の列。人懐っこいドウェレイはファンの一人ひとりと長らく話し込み、気楽にケータイの撮影に応じていました。30分以上は続いたようです。ライブの雰囲気をつくるのは演者と観客の双方であることを示す、優しい時間でした。

 アトランティック・スターについては、かれこれもう20年以上のファン。ですから、ステージの観かたは私なりに把握しています。中心人物のひとりデイビッド・ルイスが脱退して数年、しかし私ごのみの喉を持つウェイン・ルイスはまだ残っている。そのことが嬉しい。「Silver Shadow」や「Circles」といったアップナンバーを基調として観客を盛り上げたところで、「Always」「Masterpiece」そして「Secret Lovers」等のヒット・バラードをじっくり唄い込む。長年その構成にブレはありません。

 ただ、音楽をある程度以上に深く聴いている人ならば誰しも「ヒット曲ではないけれどこの曲は歌ってほしい」と願う曲がいくつかあるものです。私はサム・ディーズというシンガー/ソングライターがアトランティック・スターに提供した作品群が好きで好きで。今回は専らサム・ディーズ作品が何曲聴けるかということに注目していました。結果は「Am I Dreaming」「Send For Me」の2曲のみ。いずれも1981年の名作アルバム『Radiant』収録の屈指の名曲ですが、90年代に入ってからの「Lookin’ For Love Again」あたりも聴きたかったなあ。ま、次回も足を運ぶ理由があるというのは幸せなことかもしれませんね。

 それでは、また来週。

 

 
左、Dwele『Some Kindaノ』(2005) 最新作となるセカンド。
右、Atlantic Starr『Yours Forever』(1983) アルバムとしてはこれが一番好き。

Home > column > Vol.51「長いお休みの前に」

Return to page top