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2005-02-23

Vol.5 「グラミー・ゴウズ・トゥ…」

 先週は執筆をサボってしまいました。スマンです。グラミー賞授賞式のためにLAに出張してまして、どうにもまとまった時間が作れなかったんですよ。休載にするのもどうかと思い、過去にあちこちへ寄稿したものの中からひとつピックアップして再録した次第。

 ではグラミー賞のお話。2月13日の日曜日、LAはステープルズ・センターでの授賞式に出席してきました。私にとっては初グラミー体験、しかもWOWOWの中継番組のゲスト解説者という慣れないお仕事でしたが、いざ始まってみれば楽しいばかりで。スーパースターの金粉を体中に浴びてきた感じです。この場を借りて共演者の松任谷正隆さん、山田優ちゃん、今村知子さん、ピーター・バラカンさん、小牧ユカさん、そしてWOWOWスタッフの皆さんに感謝いたします。

 既報の通り、今年(第47回)のグラミー賞はレイ・チャールズの弔いショウの様相を呈していました。カニエ(10部門ノミネート)やアッシャー(8部門ノミネート)はタイミング悪かったねえ。彼らには肌の色を越える大きな賞は回ってきませんでした。カニエ、不服でしょうなあ。昨年11月のアメリカン・ミュージック・アウォーズにも振られましたからね。でも昨年のグラミーにおける50セントの不遇ぶりに比べればまだましかと。

 本国アメリカでは授賞式は13日の20~23時半にかけてCBSで生中継されたのですが、過去2番目に低い視聴率だったとか。とはいえ20時台と22時台の番組視聴占拠率自体は同時間帯でトップ。9時台だけが首位陥落。その最たる理由はABCの人気ドラマ『Desperate Housewives』だそう。意訳すれば、キレる主婦たち、ですか。私の周りの敏感な人たちはもう気にしてます、このドラマ。主演のテリー・ハッチャーは先日のゴールデン・グローブ賞でコメディドラマ部門主演女優賞を受賞…まあ聞き流してしまいそうな情報ですが、これが、『Sex and the City』のサラ・ジェシカ・パーカー女史をおさえての受賞、となれば。ほら、気になってきたでしょう?

 もとい、グラミー賞ぐらいの大物老舗番組ともなれば他局の番組と戦うというよりも自らの歴史と戦うのが宿命なんですね。NHKの紅白歌合戦や大河ドラマのごとし。現状維持さえ後退と呼ばれるキビシイ世界。まあ今年の主役レイ・チャールズ自身が不在のグラミー賞には、昨年の「ビヨンセ+プリンス共演!」に相当する華はなかったかもね。それでも「アッシャー+ジェイムズ・ブラウン」「アリシア・キーズ+ジェイミー・フォックス」「カニエ・ウェスト+ジョン・レジェンド+メイビス・ステイプルズ」といったグラミーならではの共演は、私のようなソウル聴き者にはたまりませんでしたが。司会がクイーン・ラティファというのも気分だし。

 ステープルズ・センターといえばNBAのレイカーズ、クリッパーズ、そしてNHLのキングズの本拠地。そりゃデカイです。入場するまでのセキュリティ・チェックがひと苦労で、ここじゃいつもこんな感じかと思いきや、警察官いわく「今日は上院議員が来てるんで」と。会場の屋上を見ればスナイパーがライフル銃を持って屹立しており。もう『ジャッカルの日』をライブで観てるような感じ。で、その下では絢爛豪華なショウが展開している。ショウビズが社会の縮図とはよく言ったものです。

 以下、当日気づいたこと、感じたことをいくつか。端的に。

 ・プレゼンターは「グラミー・ゴウズ・トゥ…」の間のとり方に命をかける。
 ・夫婦共演したJ-Loの佇まいは下り坂走者独特のもの。
 ・クイーン・ラティファの歌はあくまで声質勝負。
 ・プリンスの最前線完全復帰。
 ・主要部門の一定数はクライブ・デイビスの利権。
 ・アニタ・ベイカー「出せばグラミー」神話の終焉。
 ・受賞せずともパフォーマンスで強い印象を与えたジョス・ストーン。
 ・イブの登場に騒ぐ客なし。
 ・マリオはポスト・アッシャーというよりテビン・キャンベル的。
 ・ジョン・メイヤーは21世紀版ジェイムズ・テイラー。
 ・豪人カントリー歌手キース・アーバンは男前。
 ・ジャネットは昨年の胸ポロリを今でも後悔している。
 ・アリシアとブリトニーは同い年。
 ・日本のメディアはアッシャーにこのまま無関心を貫くのか。

 授賞式の2日後、ロバートソンBlvdのレストランThe Ivyでジャーメイン・デュプリとばったり。グラミー会場では連れ添っていたジャネットはいませんでしたが。思えば彼と初めて会ったのはクリス・クロス「ジャンプ」旋風の最中の92年、アトランタ。フォックス・シアターの楽屋でした。時にデュプリ19歳!まあ私も24歳でしたが。その後は彼のSo So Def オフィスを何度か訪ねたものです。自宅訪問してゴルフ場みたいな庭に驚いたこともありました。ダ・ブラットやエクスケイプといった新人が出るたびにオフィスに取材に行っていたような記憶があります。最後に会ったのはいつだろう…そんなことを話し、照れくさかったけれど一緒に写真に納まって別れました。

 それでは、また来週。

*松尾潔出演 WOWOW『グラミー賞2005』 4月1日(金)深1:30~ 再放送オンエア

 

毎年出てます『Grammy Nominiees』。
今年は初めてマジメに聴いてみました。

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