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2005-03-23

Vol.9 「一日も早い復旧を」

 その時、私は出張先の軽井沢のホテルにいました。
 チェックアウト・タイムが迫ってもベッドでまどろんでいたら、つけたままのテレビから故郷・福岡のただならぬ光景が流れてきて驚きました。

 実家と電話がつながったのは結局1時間ほど経ってから。
 親しい人たちの無事を確認するまでの動悸は今まで経験したことがないものでした。
 阪神淡路大震災の時、被災地出身の知人たちはこれに似た気持ちを抱いていたのですね。何人もの口から何回も聞いた筈なのに、その実私は何も理解していませんでした。
 無知の知はいつも遅れてやってくる。

 地元の親しい友人からのメールには「福岡でも震度6クラスの地震がある」ことに大きなショックを受けた、とありました。
 まったく同感です。進学で上京する際に「東京は地震がよく起こる」という話を何回聞いたことか。概して西日本出身者は地震に対しての耐性が乏しいように思います。実感を伴わぬ想像力にはおのずと限度が生じるものです。

 高校時代の同級生のメーリングリストに名を連ねているおかげで、地震発生以来コンスタントに細かい現地報告を受けています。
 中心地・天神の福岡ビル(通称『福ビル』)は360枚の窓ガラスが割れたそう。付近の歩行者が怪我を負ったとしてテレビで繰り返し放映されていました。
 福ビル。その中の文房具店で私は初めてのシャープペンシルを買った。本屋で初めての『POPEYE』を買った。プレイガイドでソニー・ロリンズのコンサート・チケットを買った。レコード店ではデビュー間もない早見優の宣伝ポスターを譲ってもらった。
 そして現在、福ビルはかつての同級生の勤務先でもある。

 ただ、離れていると実感が得がたいのも事実。こんな時に自分に何ができるのか、自問しています。そんな思いをかかえながらスタジオに入ってラブソングを作っています。
 世の中を変えることはできないが、小さな何かはできるんじゃないか。

 まだ余震がつづくとも聞きます。
 福岡在住の方がたは心身ともにお疲れのことでしょう。
 今はただ皆さんの身の安全と福岡の街の一日も早い復旧を心から祈っています。

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