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2005-08-31

Vol.29「漂えど沈まず」

 隔週連載化しているこの本コラム、奇特にもチェックしていただいている皆さんには、ただもう感謝そして深謝であります。今週書き落とすと8月の純粋な書き下ろしコラムは僅か1本になるところでした。今思えば連載当初から「毎週水曜日頃更新」なんて多分にエクスキューズ臭プンプンなフレーズを添えるあたりが私の自分に甘いところですな。「頃」はないだろ、「頃」は。 

 あんなに恨めしかった暑さも、明らかに下り坂にある今となっては、どこか名残惜しくさえあります。夏よ、行かないで。とか言ってみたり。うん、「行かないで」の前に来る季節名としてはやはり夏がベストですな。これがスキー部員だったりすると冬だったりするわけでしょうか。心当たりのある方はどうかご一報ください。

 さて、山下達郎さんの7年ぶりのオリジナル・アルバム『ソノリテ』が9月14日に発売されます。その1曲「KISSからはじまるミステリー」のプロダクション・コーディネイトをお手伝いしました。「KISSミス」といえばKinKi Kids初期の名曲ですが、オリジナルでは作詞ご担当の松本隆さんがお書きになっていたラップ・パートを、今回はケツメイシのRYOさんに新たに書き下ろしてもらい、客演もお願いしました。これは私の(プロデュース名義ではなく)プロダクション・コーディネイト(PC)作品の中では快心の1曲となりました。是非ご一聴いただきたいです。
 
 他の方ならいざ知らず、私がプロデュースというクレジットを使う時は、曲作りの構想からマスタリングに至るまでの一切の責任を負っています。TVタイアップがついている時は番組のプロデューサーととことん議論することもあります。しかし、そういった一連のプロデュース作業のある部分を特化して請け負うPCの場合、プロデュースの制約から開放されてイマジネーションが湧くことがあります。これがPCの醍醐味。ある意味において私はプロデュースよりPCのほうが向いていると思います。漂えど沈まず、が。
 
 以下、これまで特に思い出に残っているPC作品ベスト3。その挿話とともに。

・SPEED「STEADY」(1996年)
 当時はTLCが飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍中でした。私は「Waterfalls」のプロデューサー、オーガナイズド・ノイズの頭脳であるエンジニア、ニール・ポーグをミックスに推挙。待つことしばし、アトランタから最高の音が届きました。がしかし、SPEEDの事務所トップの「この音は黒すぎる」というご判断でお蔵入りに。2000年のベスト・アルバム『Dear Friends 1』に”Atlanta Mix”名義でようやく陽の目を見ました。そういえば1996年はアトランタでオリンピックが開催されたのでした。開会式の音楽監督はジャム&ルイスでしたね。なお、ニール・ポーグは最近ではTAHITI80の新作に参加しています。

小泉今日子「夢の底」(1998年)
 アルバム『KYO→』の収録曲です。『KYO→』は楽曲を一般公募したという画期的なアルバムでしたが、私はこの審査団の一員でした。なかでも特にお気に入りだったのがこの曲。その頃私がブレーンとして関わっていたMISIAを誘ってアドリブをフィーチャーしました。あと、当時としては珍しかった「アルバムの特設ホームページ」の運営にも私は関わっており、スペシャル・コンテンツとして小泉さんと一緒にショートショート・ストーリーを何本か創作しました。今で言うコラボってヤツですか。あれ、本にならないかな。先日ある結婚式で小泉さんにお会いして、そのコラボを久々に思い出しました。アルバム・プロデューサーの田村充義さんのお仕事ぶりにはたいへん影響を受けましたね。

鷺巣詩郎「SWEET INSPIRATION」(2000年)
 アルバム『SHIRO’S SONGBOOK 2』の収録曲です。参加陣が豪華でして、ロンドンからFREEDOM GOSPEL CHOIR、東京からは佐藤竹善平井堅、露崎春女(現Lyrico)、MICHICO中西圭三、そして吉田美奈子の諸氏。東京勢のレコーディングは、美奈子さんを除く5名が一堂に会して原宿の某スタジオで行われました。チャリティー等の公共的なイベントではなく、鷺巣さん個人の作品制作ですからね。こんな集合レコーディングは異例中の異例でしょう。ま、美奈子さんの単独レコーディング日となった翌日のほうが余程エネルギーを消耗しましたが。

 それでは、また来週。

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