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2005-12

Vol.42「年の終わりに」

 今年最後のコラムです。
 昨日、川口大輔さんから「正月はどこで過ごしますか?」というメールをもらいました。思いかえせば今年の正月は彼とブラックプール~ロンドンに男二人旅を敢行したのでした。まあその時の土産話は当コラムの第2回および第3回をご参照いただくとして。もう随分と昔の出来事のような気がしちゃいます。

 というのも、2005年はとにかく沢山の音楽のお仕事をしたのです。特に8月と9月。この夏のふた月で、23曲プロデュースしました。こんなにストイックに音楽に向き合ったのは仕事を始めた80年代終盤以来のことじゃないかな。その当時は音楽についての文章を書いたりFMの音楽番組を作ったりしていました。今は主として音楽そのものを作っている。でも得られる興奮の本質はあまり変わらないような気がします。

 ストイック、という表現を使ったのにはわけがあります。というのも、今年は稲垣潤一さんのアルバム制作を通じて筒美京平さんの楽曲と向かい合うことが多く、楽譜を第一義とする彼の作曲行為に対峙すべく例年になく頻繁に譜面に接していたのです。私の制作スタイルは普段さほど譜面を必要としていないのですけれど。

 正直に告白すると譜面の読み書きは好きではありません。幼少時にオルガンやピアノの練習を半ば強制的に続けていたトラウマです(同じ理由で水泳も将棋も心からは好きになれません…ま、これは余談)。でも、そんな無精者の私でさえ「筒美京平の直筆譜面を読む」という栄に浴する意味はよくわかります。で、今年の夏はいつになく学徒のごときストイックな態度で机に向かった次第。脳が汗を流すような感覚がありました。この経験を汎用してみたのが、私にとって数年ぶりの作曲となったくんの「Only Human」でした。

 さて。
 今年もたくさんの素敵な出会いがありました。世を去った人、消えたものに涙を流すことも増えたような気がします。人生の残時間を考える機会も増えたような。そんな私の心の振動をこのコラムの行間に読みとる方がたもいて、その声にまた励まされることも少なくありませんでした。感謝します。ありがとうございました。

 意味のない1年はない。意味のない1秒もない。そう思います。

 それでは、よいお年を。

Vol.41「このひと月のあいだに」

 1ヶ月のご無沙汰でした。ほんと、ごめんなさい。
 根気強くアクセスを重ねてくれた方々に感謝します。現在は2005年最後のヤマ場と言ってもいい、某人気女優さんの音楽プロジェクトがようやくひと段落着いたところです。詳細については近日中にまたお伝えしますね。

 では、このひと月のあいだに見たり聞いたりしたものをいくつか、端的に。 

ケイコ・リーさん10周年記念パーティー。
ココロのアネキ。面識もないままCHEMISTRYのアルバムに参加を要請して以来の仲。たまに呑む時も楽しいですが、スポットライト浴びて歌ってる時の彼女はやはり最高にカッコイイですな。約束通り、日本語アルバム作る時はひと声かけてくれますよね?

松田美緒さんデビューコンサート。
ここ数年、時間を見つけてはファドを聴いています。特に詳しいわけではないですが。知人を介して知った松田美緒さんは、私が初めて触れた日本人のファド歌い女(うたいめ)。終演後にはご本人と会って話すことができました。期待通りの大らかな歌いっぷり、想像以上に機知に富んだ語り口。ずっとお付き合いしたい才能の主です。 

ビービー・グラーツ氏
以前お話ししたロンドンの「The Fat Duck」シェフ、ヘストン・ブルーメンタールもそうですが、自分と同い年もしくは同世代の食の担い手に興味があります。来日したスーパートスカーナの作り手・ビービー・グラーツ(Bibi Graetz)を囲んでの「テスタマッタ(Testamatta)2003」試飲会に顔を出してみることに。簡単な会話を交わしただけですが、それでも十分な刺激を受けました。ま、何より美味しかったですし。

長見順さんライブ。
別名・マダムギター。噂にたがわぬ迫力。予想以上にギターも歌も達者で驚く(失礼!)
メロウな曲調のナンバーで不覚にもウットリ。が、すぐに轟音ギターで目が覚める私。

オレンジレンジライブ。
お誘いを受けて初めて観た彼らのライブ。小学生がラップ大合唱する姿に感服。バンドは実にまっとうな景色を見ようとしているのですね。ベースのYOHくんは特にいい。ギターのNAOTOくんの音も悪くない。最も驚いたのはYAMATOくんのロックスター然としたクールな佇まい。テレビじゃわかりませんでした。

 それでは、よいクリスマスを。

 


松田美緒「Atlantica」(2005)
若い頃の岩崎宏美さんを思わせる佇まい。
歌い女として正しい道を歩む何よりの証左、かも。

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