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2005-12-29

Vol.42「年の終わりに」

 今年最後のコラムです。
 昨日、川口大輔さんから「正月はどこで過ごしますか?」というメールをもらいました。思いかえせば今年の正月は彼とブラックプール~ロンドンに男二人旅を敢行したのでした。まあその時の土産話は当コラムの第2回および第3回をご参照いただくとして。もう随分と昔の出来事のような気がしちゃいます。

 というのも、2005年はとにかく沢山の音楽のお仕事をしたのです。特に8月と9月。この夏のふた月で、23曲プロデュースしました。こんなにストイックに音楽に向き合ったのは仕事を始めた80年代終盤以来のことじゃないかな。その当時は音楽についての文章を書いたりFMの音楽番組を作ったりしていました。今は主として音楽そのものを作っている。でも得られる興奮の本質はあまり変わらないような気がします。

 ストイック、という表現を使ったのにはわけがあります。というのも、今年は稲垣潤一さんのアルバム制作を通じて筒美京平さんの楽曲と向かい合うことが多く、楽譜を第一義とする彼の作曲行為に対峙すべく例年になく頻繁に譜面に接していたのです。私の制作スタイルは普段さほど譜面を必要としていないのですけれど。

 正直に告白すると譜面の読み書きは好きではありません。幼少時にオルガンやピアノの練習を半ば強制的に続けていたトラウマです(同じ理由で水泳も将棋も心からは好きになれません…ま、これは余談)。でも、そんな無精者の私でさえ「筒美京平の直筆譜面を読む」という栄に浴する意味はよくわかります。で、今年の夏はいつになく学徒のごときストイックな態度で机に向かった次第。脳が汗を流すような感覚がありました。この経験を汎用してみたのが、私にとって数年ぶりの作曲となったくんの「Only Human」でした。

 さて。
 今年もたくさんの素敵な出会いがありました。世を去った人、消えたものに涙を流すことも増えたような気がします。人生の残時間を考える機会も増えたような。そんな私の心の振動をこのコラムの行間に読みとる方がたもいて、その声にまた励まされることも少なくありませんでした。感謝します。ありがとうございました。

 意味のない1年はない。意味のない1秒もない。そう思います。

 それでは、よいお年を。

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