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2006-02

Vol.47「捨てる神あれば…」

 先日、ある女性シンガーのプロデュースから降りることになりました。

 彼女の仕事を始めたのは半年前のこと。別のアーティストとの仕事を経て私が強い信頼を寄せているA&Rの方から熱心に参加を請われたのがきっかけです。その後、実際に本人に会って音楽への強い意志を確認しましたし、何よりも「うた」の才能を感じました。

 秋頃から実際にオリジナル曲もいくつか作りました。待望のシングル発売が4月に決まった矢先…。先述のA&R氏が他セクションへ異動することになってしまいました。

 彼は自分がA&R職を離れた後もこの仕事を予定通りまっとうして欲しいと私に直接確認してきました。しかし私のプロデュースは、アーティストと同様に担当A&Rとの深く密な意思疎通が大前提。後任者と新たな信頼関係を築くには然るべき時間が必要です。結局、当初の制作スケジュールでは無理と判断した私は仕事を辞すことを申し出ました。大袈裟に言えば、音楽とは人と人の関係性が反映されるものという持論の実践でもあります。

 女性シンガーのマネージャーにも私の選択を伝えました。しかしマネージャー氏は「人事異動は会社が決めたことだから仕方ないし諦めもつくが、プロデューサーが降りるのは…」と。ん?非難の矛先は自分に向かっている?これって…会社の人事決定は天災、フリーのプロデューサーの辞意は人災、ということ?会社勤めの経験がない私はその論理がリアルに理解できないんだなあ。

 正直に言えば、今回の件に関して私は被害者意識を強く持っていました。自分を強く勧誘した責任者が不在となった現場にポツリと取り残された気分でしたから。ところが、そんな自分がどうやら最大の加害者と見做されているようなのです。私が甘かったか。

 「シングル発売を7月まで延期し、新任A&Rの方とコミュニケーションを深める期間を設けてくれたら…」と提案したのですが、「そんなに待てません」と即答されたのでありました…。うーむ。この女性シンガーの才能に強く魅かれていただけに残念。ま、ご縁がなかったということでしょうかねえ。

 実は昨年も私は数組の女性シンガーをプロデュース、ミックスダウンまで終えていたものさえ何曲かあるのですが、レコード会社やタイアップ先の意向ですべておクラ入りしています。ホント、女性とは縁がない。このままだとオクテになっちゃうよなあ…。

 ところが!捨てる神あれば拾う神あり。
 女性アーティストのシングルとしては実に数年ぶりの新曲が仲間由紀恵withダウンローズの「恋のダウンロード」なのであります。感謝。正直なハナシ、まさか仲間さんが扉を開いてくれるとは。音楽人生、ホントわからないもんです。

 それでは、また来週。

 


ついにジャケット完成!

Vol.46「ご無沙汰しています」

 半月ぶりの更新です。遅れました。失礼いたしました。

 実は先週から韓国ソウルに出張しておりまして。日曜日には東方神起の初の単独コンサートを観てきました。会場となったソウル・オリンピック公園内第1体育館はキャパ1万人くらい。オープニングは韓国でのアルバム第2集の冒頭曲でもある「Tonight」。以降、全員全曲大合唱にただただ圧倒されました。メンバー5人とも大健闘でしたが、なかでも印象的だったのはチャンミンのソロ・タイムかな。これまでの甘えっ子イメージを覆す、複数の女性ダンサーとの絡み。ドキドキとキラキラの3時間でした。

 さて、2週間前のグラミー賞WOWOWはご覧になりましたか?
 この数年、テレビ出演は年に数回にとどめている私ですが、この番組は楽しいのでわりと気楽にお受けしています。今年はゲスト陣(音楽評論家の妹沢奈美さん、ケミストリーの川畑くん、クリスタル・ケイちゃん、そして私)の中で私が最年長。ちょっとは責任感をもたなきゃと思いましたが、番組が始まれば楽しいばかりで。ひとえにスタッフの皆さんの頑張りのおかげです。頭が下がります。

 ケミストリーの川畑くんとはスタジオで時々会っていますが、クリスタル・ケイちゃんは何年ぶりだったのかな。オトナの女性の顔を見せる瞬間が何度かあって。神田うのさんに似てきた? 歳月を感じましたねえ。妹沢さんとは今回の番組で初めてお会いしたのですが、事前打ち合わせから本番までずっと気配りを欠かさない、才気に満ちた素敵な女性でした。音楽業界で大人気なのも当然かと納得。

 ここでマジメな話をすると、テレビでは言いたいことは3、4割くらいにとどめるようにしています。テレビじゃコトバより表情のほうが情報として強いですから。これは6年前に『ASAYAN』で半年くらい撮られ続けた経験から学習したことなんですけど。

 というわけで、以下、カメラを離れてのつぶやきを少し。
 U2、今年は5打数5安打。いや、5本塁打か。はあ。そりゃアルバムも悪くなかったけど…。このコラムをお読みになっている皆さまにおかれましては、マライア・キャリーの低打率が不憫でならないはず。昨年アメリカで最もアルバムを売ったマライア、そして2番目に売った50セントのグラミーにおける不遇ぶりは見ていて気の毒なほど。そう、50セントこそグラミーに「愛されていない」筆頭なり。マライアもグラミーが真剣に欲しけりゃJレコーズに移籍するかiPodのCMに出るのが近道でしょう…….これ、半分イヤミ、半分本気です。結論めいたことを言えば、グラミー授賞式は賞の行方よりパフォーマンスのほうがずっと気になるイベントですね。私にとって。

 さて、今週に入って嬉しいニュースがありました。
 これまで文字通りダウンロードでしか入手できなかった仲間由紀恵withダウンローズの「恋のダウンロード」が3月15日にCDリリースされることが決定したのです。出自が出自ゆえ、構造的にダウンロード・オンリーという形で世に出た曲。今回のCDリリースは着うたフル®でセールス首位を続けていることがもたらした「ご褒美」ですね。いくつになってもご褒美は嬉しいもの。いつになっても筒美京平メロディーは最高!

 それでは、また来週。 

 


私は断固支持します!

Vol.45「グラミー賞目前」

 週末あたりに感じた春の気配は、やはり気のせいだったのかな。調子に乗って髪を結構バッサリと切ったんですが、途端に寒波が戻ってきたようで。こんなことを繰り返しながら季節は過ぎていくのでしょうけれど。

 さて、洋楽ファンにとっては1年に1度のお待ちかね、グラミー賞の季節です。WOWOWの中継番組の解説で松任谷正隆さん、山田優ちゃん、ピーター・バラカンさんと一緒にLAに行ってからもう1年も経つんですね。はあ。早いなあ。

 さて、今年のグラミー賞は日本時間で2月9日に開催されます。私は昨年に続いてWOWOW特番に出演することになりました。今年は司会がジョン・カビラさんと八木亜希子さん。出演者は東京で生映像を受けてお喋りするという構成なので、番組は昨年とはずいぶんと違った趣になるでしょうが。

 ノミネーションのラインナップを見ていると、今のアメリカの黒人音楽業界はカニエ・ウェストとジャーメイン・デュプリの二強時代なんだなと実感します。もちろんスコット・ストーチやリッチ・ハリスンショーン・ギャレットといったプロデューサーもいい仕事を残しているのですが、音楽業界全体への認知度、影響力という見地においてこの二強はいま特別な次元にいますね。

 それにしてもデュプリの活動は長い。90年代のSO SO DEF(デュプリ)とBAD BOY(P.ディディ)のスリル溢れるリミックス交歓を知る者にとっては、華と艶のあるR&Bづくりで一時代を築いたディディのプロデュース業本格復帰を強く願いたいところ。でも服づくりの利益率の高さとうまみを一度知ったビジネスマン・ディディにとっては、カムバックは魅力に乏しいんでしょう。日本でも衣服販売のうまみに溺れるヒップホップ系ミュージシャンは多いからなあ。ま、それも人生ですが。

 それでは、また来週。 
 9日のグラミー賞@WOWOWでお会いしましょう。
 


Jamie Foxx 『Peep This』(1994)
昨年度オスカー受賞俳優にして本年度グラミー賞ノミネート歌手。
これは幻のデビュー盤。 
悪くはないけどねぇ…12年後に100ドル超のレア盤になるとは。 
ちなみに私は発売翌年にLAの中古盤屋で購入。6ドル99セント也。

 


J.Little『Puttinユ It Down』(1994) 
でも94年の男性ソロ名作といったらコレでしょう。
元Rude Boys。 
ちなみに私はリリースと同時に渋谷WAVEで購入。
税抜価格2150円。 現行価格はAMAZONで10ドル前後。

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