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松尾潔公式サイト~Never Too Much Productions~ コラム

Vol.54「本日スタート!」

 おおよそひと月ぶりの更新です。みなさん、お元気でしたか?
 さて。ではこの「沈黙の1ヶ月」の間の出来事を、以下、端的に。

川口大輔さんとのコンビで作った新曲「Wish」が、本日(7月14日)22時よりスタートするTBS系ドラマ『タイヨウのうた』初回放送分で流れます。2人の女優さんが歌う予定。主演は映画『パッチギ!』の沢尻エリカ嬢。私にとっては『1リットルの涙』以来2回目のご縁というわけです。久しぶりに会ったのですが、以前にはなかったオトナのオンナの魅力が。眩しいなあ。共演の松下奈緒嬢の新しい役どころにも注目。

ミント・コンディションのライブ@コットンクラブに行きました。現地で合流したゴスペラーズの村上くん、J-WAVEナビゲーター秀島史香さん等と大騒ぎ。ちなみにコットンクラブで現在配布中のパンフレットには私のコメントが掲載されています。

・J-POPのライブだと川口大輔さん、東方神起。あと、知る人ぞ知る、ペーソスを。

仲間由紀恵 with ダウンローズの2曲目にして解散シングル「恋は無期限」の制作が完了しました。私はコンセプト、プロデュース、作詞を。作曲はこれまた川口大輔さん。今回も仲間さんの歌は絶好調。7月21日、配信リリース開始。CD化は未定なり。

CHEMISTRYSOWELUをプロデュースした時のパートナーである和田昌哉さんが8月30日に『New Beginning』でアルバム・デビュー。そういやSWVにも同名アルバムがありましたな。その収録曲「Magnetic」の歌詞を書き下ろしました。

Kくんと2人きりでスタジオにこもり、何曲か作曲。リリース詳細未定ながら楽しい体験。

鈴木雅之さん、EXILEの新曲制作準備を何となく始めました。ふた組ともプライベートでは随分と前から知っているだけに、妙に新鮮な気分ではあります。

・落語にはあまり行けず。そのくせ、前々回のコラムであれだけ苦言を呈した立川談春さんはまたしっかり観ました。柳家喬太郎さんの独演会にも。とはいえ、このひと月で何が良かったかと訊かれたら、それはもう柳家喜多八師匠に尽きます。あの高座にあがる時の不貞腐れた歩き方はちょっと真似したくなるほど。無駄にハンサムなところも好み。

・8月に発売されるフォー・トップスの結成50周年ライブDVDの解説を執筆。今では年にわずか数本になったライナー執筆仕事なれど、今回は自分でもたいへん満足のいく原稿が書けました。今年の下半期はちょっと増やしてみようかな。

 それでは、また来週(か?)

Vol.53「10分トーキング~その2~」

 またまた更新もサボりがちでシーマセン。
 そのぶん来月あたりからプロデュース作品がコンスタントに世に出ていきます。それに先がけて来週には東方神起のニューシングル「Begin」が。請うご期待。

 では本日もしっかり10分間計時して書きます。 

 サッカーW杯日本チーム第1戦、私は友人たちと代官山の某レストランで観ました。もともと大物男性シンガー某氏参加の報せを聞いて足を運んだのですが、彼は試合に備えて打った針が効きすぎたとかでドタキャン。結局、隣のテーブルで盛り上がっていた「不倫は文化だ」発言で知られる俳優某氏たちと一緒にワイワイ観戦。最終的には店内100名ほどの客が一体化していましたな。パブリック・ビューイングの醍醐味ってヤツですな。

 前回のW杯は、公式テーマソングをプロデュースした関係で矢鱈と会場に足を運んだものです。ソウルでの開会式に始まり、第1戦フランス対セネガルの大番狂わせの目撃者にもなりました。あと日本チームの試合をいくつか、そして決勝のブラジル対ドイツ。熱心なファンとは呼べない私には勿体なかったかも。前述のセネガルのように、かつての宗主国と戦うチームの試合に尋常じゃないエネルギーを感じたことが強く記憶に残っています。

 話は代官山の夜に戻ります。対オーストラリア戦を観たあと、代官山のお店を出た私はゴスペラーズ黒沢薫、酒井雄二両氏とバーで合流。痛飲。黒沢くんとは先週も深酒して自宅まで送ってもらったんですけど…。初めこそサッカー敗戦の話題でしたが、それはただのきっかけで、実にいろんな話を。で、合間には黒沢くんが持ち込んだ彼お手製のカレーをいただく。いつもながらに美味。それはそれは愉しき時間で。

 ファンの方には説明する必要もありませんが、黒沢くんのカレーに関する経験と見識そして技術はプロフェッショナルの域でありまして、『ぽんカレー』なるレシピ本も出してるほど。カレーを特集した『danchu』最新号(7月号)ではなんと表紙に登場!それと山下達郎さんが表紙の『東京かわら版』最新号(6月号)はいい意味でニコイチですな。もとい、私も今年の正月に黒沢くんから秘伝「ぶりカレー」の直筆レシピをもらって以来、ことある毎に作っているのですが、これが本当に美味しい。カレーに鰤と西京味噌なんて入れちゃうわけですよ彼は。素人の私は半信半疑のままル・クルーゼに向かうのですが、それでもレシピ通り作れば成功しちゃう。料理ってまず計量からだなあと。

 川口大輔和田昌哉ファットバック・バンドシャラマー…etcのライブ記も書きたかったのですが、ここまで9分48秒。これにてお時間となりました。

 では、また来週。

 

 
東方神起「Begin」 左はCD+DVD、右はCDのみ

Vol.52「10分トーキング」

 長いゴブサタでした。ごめんなさい。本業のほうがここ数年にない忙しさでして…。 

 「これは本格的な休載ですか」等々、読者の方から励まし、ご質問、ご叱責を多数いただいております。その中で特に目にとまったのが次の1行。
 「10分でもいいから書いてください」 
 はあ。そうか。と膝を打ったのには理由があります。このフレーズ、小学校3年の時にクラス全員に日記提出を義務づけていた担任教師の口癖でした。

 というわけで、本日はしっかり10分間計時して書きます。それ以上は書かない。何か言いかけた途中でも強制終了。ちなみに冒頭からここまで、3分36秒ナリ。

 今週観たもの、その1。火曜の夜に池袋で立川談春独演会を。師匠の十八番とされる「遊女夕霧」を初めて生で。相当期待してました。
 がしかし。私にはさっぱり…夕霧がいいオンナに思えない。自分の想像力が貧困なのかもしれませんが、談春さんの語り口から「美女の姿が立ちのぼる」ような感触は一切得られず。声質は嫌いじゃないんで、間合いが生理的に受け付けないのか、もしくは単純に肌が合わないということでしょう。
 私の周りの若手落語家好きの男性の間では、談春さん一番人気ですけどね。ちなみに女性の間では柳家の花緑さんか喬太郎さんかな。少なくとも私にとってこのお題は新派なり歌舞伎なりの芝居で観るほうがいいかな、なんて思いました。
ま、彼の高座にもう足を運ばないかと訊かれたら、「いや、また行く」と答えますが。
 こうしてファンになっていくのかな。

 その2。木曜の夜に有楽町で映画『ダ・ヴィンチ・コード』の試写を。
 原作があれだけの長尺ですから、2時間半にまとめるということにそもそも無理があったのでしょう。編集がラフすぎじゃないですか?
 でも、トム・ハンクス、ポール・ベタニー、そしてオドレイ・トトゥは丹念な演技で。それはよかった。一昨年でしたか、オドレイさんと対談したのですが、「英語は難しいのでハリウッドはちょっと…」と言ってましたなあ。あと、単純にパリやロンドンのベタな観光映画としてもよいかも。あ、これって褒め言葉ですよ…。 

 というわけで、ここまで9分42秒。これにてお時間となりました。
 では、また来週。

Vol.51「長いお休みの前に」

 意味深げなタイトルですみません。明日から大型連休だねえってことなんですが。

 今年に入ってから更新のペースが著しく遅れており、このコラムを楽しみにしている方がたからは多くのお嘆きおよびお叱りをいただいております。ほんと申し訳ありません。ですが、生まれついての文章好きの私がなかなか新コラムをアップできずにいるのは、それ相応の理由があると好意的に解釈していただけないでしょうか。虫が良すぎますか。 

 さて、秘書がすこし書いているようですが、このところ私はライブ・パフォーマンスをよく観に行っています。なかでも興味深く観入ったのは丸の内のコットンクラブで立て続けに鑑賞したドウェレイとアトランティック・スターでした。

 ドウェレイについては、デトロイトのヒップホップ・シーンをレプリゼントするスラム・ビレッジ人脈の彼が、コットンクラブのような、ともすればスノビッシュな雰囲気を醸しだす異国の空間でどんなステージを披露するのかという一点に興味がありました。ここ数年のエリカ・バドゥがそうであるように、ターンテーブルを操りながら歌うという演出で自分の出自と世代をアピールするドウェレイ。現在の彼にアルバムの3、4倍もの値段の入場料をとるだけのバリューがあるかどうかは正直疑問です。がしかし、20代とおぼしき若い観客たち(みなさんリッチですな~)はその落差を自ら埋めるかのように主体的に「参加」していました。「鑑賞」ではなく。その証左となるのが、パフォーマンス後のサイン会にできた長蛇の列。人懐っこいドウェレイはファンの一人ひとりと長らく話し込み、気楽にケータイの撮影に応じていました。30分以上は続いたようです。ライブの雰囲気をつくるのは演者と観客の双方であることを示す、優しい時間でした。

 アトランティック・スターについては、かれこれもう20年以上のファン。ですから、ステージの観かたは私なりに把握しています。中心人物のひとりデイビッド・ルイスが脱退して数年、しかし私ごのみの喉を持つウェイン・ルイスはまだ残っている。そのことが嬉しい。「Silver Shadow」や「Circles」といったアップナンバーを基調として観客を盛り上げたところで、「Always」「Masterpiece」そして「Secret Lovers」等のヒット・バラードをじっくり唄い込む。長年その構成にブレはありません。

 ただ、音楽をある程度以上に深く聴いている人ならば誰しも「ヒット曲ではないけれどこの曲は歌ってほしい」と願う曲がいくつかあるものです。私はサム・ディーズというシンガー/ソングライターがアトランティック・スターに提供した作品群が好きで好きで。今回は専らサム・ディーズ作品が何曲聴けるかということに注目していました。結果は「Am I Dreaming」「Send For Me」の2曲のみ。いずれも1981年の名作アルバム『Radiant』収録の屈指の名曲ですが、90年代に入ってからの「Lookin’ For Love Again」あたりも聴きたかったなあ。ま、次回も足を運ぶ理由があるというのは幸せなことかもしれませんね。

 それでは、また来週。

 

 
左、Dwele『Some Kindaノ』(2005) 最新作となるセカンド。
右、Atlantic Starr『Yours Forever』(1983) アルバムとしてはこれが一番好き。

Vol.50「連載50回記念・レコ評まつり! 」

 本コラムもめでたく連載50回を迎えました。毎週きっちりと更新してればもう少し早くこの数字にたどり着けたはずなんですけど。ま、大目に見てくださいな。

 今回は久しぶりに最近の愛聴盤を3枚ご紹介しましょう。

 まずはUK発の女性シンガー・ソングライター、コリーヌ・ベイリー・レイ。さしずめ『UK版・安藤裕子』って感じでしょうか。二人の公式HPトップページのデザインが酷似しているのは偶然なのかな。もとい、全英アルバム・チャート初登場第1位のデビュー・アルバム『Corrine Bailey Rae』の輸入盤を購入してよく聴いています。ミニー・リパートンやリンダ・ルイスが好きな人は必殺!でしょう。橋本徹さんプロデュース、といわれても思わず納得しちゃいそうな音世界。エリカ・バドゥ、または遡ってビリー・ホリデイの発声との類似を指摘されているようですが、私はむしろカナダのネリー・ファータドのデビュー盤(2000年)を連想してしまいました。そういえばネリー嬢の3枚目のアルバムも6月にリリースされるようですね。

 お次はUS 美メロから。何と18年ぶりのカムバック作『I Let Heaven Go』を届けてくれたのはCJ アンソニー。既にインディ・ソウル愛好者の間で話題になっているようなので、わざわざ私が取り上げることはないかとも思ったのですが、記録として書いておきます。神格化されている88年度作品『Luv’s Invitation』は、当時チャッキー・ブッカー参加が話題になってたなあ、なんてことを久しぶりに思い出しました。ソウルバーに行くと、この種のトピックに尋常ならざる記憶力を発揮するお客さんにお会いすることがあります。私が80年代に書いたレコード評の一節を諳んじている人さえいて。で、その内容を忘れていた私が他人事のように感心すると、失望を露わにしたり、なかには怒りだす人もいたりして。夜の街の常識はちょいと非常識。そのすべてを私は楽しんでいるのだけれど。

 最後に、もひとつカムバック作を。ラルフ・トレスバント。彼の場合ニュー・エディションの表看板としてのアルバム・リリースやコンスタントなライブ活動があるので「カムバック」の名は相応しくないのかもしれません。ですがソロ名義での金字塔「Sensitivity」の繊細なきらめきを忘れられない人には、ラルフと聞いただけで疼きのような期待感を抱いてしまいます。12年ぶり、3枚目のソロ・アルバム『Rizz Wa Faire』は、ボビー・バレンティーノあたりの若手からの影響を感じさせる耽美派ソウルの手堅い作品でありました。何よりあのナヨナヨ声が変わってないのが嬉しいですね。

 余談ですけど、こないだ仕事場を整理してたら古いクリスマスカードを「発見」して。ボビー・バレンティーノ君がかつて在籍していたアトランタのキッズ・グループMISTAから届いたものでした。96年12月の日付。そりゃ覚えてないって。 

 それでは、また来週。 

 

  
左、Corrine Bailey Rae『Corrine Bailey Rae』(2006)
中、CJ Antony 『I Let Heaven Go』(2006)
右、Ralph Tresvant『Rizz Wa Faire』(2006)

Vol.49「ここでしか読めないプロダクションノーツ~その1~」

 ゴブサタです。今月、あやうくコラム1本で終わるところでした。シーマセン。
 というわけで、ギリギリ駆け込み、今月2本目のコラムです。

 さて、ついにCDデビューした仲間由紀恵 with ダウンローズ。このHPにもご感想やお問い合わせを多数いただいております。そういったお声にお応えできるかどうかわかりませんが、私なりの回答がわりのコラムを。

 実は仲間さんのスタッフから音楽面についての相談を受けたのは一昨年のこと。以来、10代の頃にリリースしたCDを聴きこんだり、主演ミュージカル『スター誕生』を観に行ったりして、シンガーとしてのポテンシャルをさぐっていました。

 うたう女優。私の夢想に登場した美女たちは…マリリン・モンロー、松坂慶子、二コール・キッドマン、そしてバネッサ・パラディ。以上、順不同、敬称略で失礼。

 しかし、ご存じのようにこの2年の間に彼女の女優としてのキャリアは飛躍的に上昇。当然スケジュールは多忙を極め、早い話、音楽どころではなくなりました。彼女を想定して何曲か用意したものの、レコーディングの機会は当分巡って来ないかと思われました。

 以前から出演しているauのCMソングを彼女自ら歌うというお話が浮上したのは2005年秋。auといえば、仲間さんが菊川怜さんと出演した2002年12月期のauのCMには私がプロデュースしたCHEMISTRY meets Skoop On Somebodyの「My Gift to You」が使用されていました。ですが当時は菊川さんとしかお会いしていなくて。余談ですが。

 まず試みたのはそれまで放映済みCMの中のYUKIE withダウンローズのキャラクターの検証。結果、初期m-floとおぼしきクラブ・オリエンティッドな男女混成グループを戯画化したものと推測。その後、実際にCMのコンセプトを作ったプランナー氏に会い、企画意図をあらためて確認しました。この時点で私がおぼろげながらにも考えていた楽曲イメージは、CM視聴者の予想に応える案、裏切る案の2つでした。

 幾度かのトライ&エラーを繰りかえし、裏切る案を選択しました。仲間さんがLISAちゃんやクリケイちゃんを模倣してどうなる? もっとクラシック、もっとエバーグリーンな佇まいこそが、歌手・仲間由紀恵には相応しいのではないかと。とはいえ、肝心なのはダンスミュージックという軸だけはブレないこと。じゃないとあのビジュアルの意味がない。そこでたどり着いたのがモータウン・ビートです。私の頭の中にはダイアナ・ロス&シュープリームスやマーサ&バンデラスが鳴り響いていました。

 何しろ「モータウン歌謡」という言葉が存在するくらいですから、歌謡曲そしてJ-POPにおけるモータウン・ビート導入の歴史は長い。和洋折衷のココロ。ならば作曲を依頼するのはこの様式美の史上最高の作り手、筒美京平さんしかいない。そう思いました。

 複数作っていただいたデモの中から迷わず選んだのが現在の曲です。京平先生自らの手弾きデモの時点で既にコード進行は現在の構成、ギターリフもあのラインで入っていました。それは今回の編曲担当の人気アレンジャーMaestro-Tをして「ひとつも変える余地がありません…完璧です!」と言わしめたほど。もっとも、そうは言いながらも、ちゃっかり印象的な間奏パートを織り込んでしまうあたりが流石Maestro-Tなんですけれど。

 オケの方向は定まりました。しかし、まだ…私にはどうも今ひとつ最終形が見えなかったのです。これまでのau CMウォッチャーの予想を心地よく裏切るためには、もう一点でいいから、「確信犯」としての手ざわりを残したい。曖昧さを断ち切るためのアクセントを作りたい…。京平先生の楽譜とにらめっこを繰り返して辿り着いたアイディアが彼女の女優としてのキャリアを最大限に生かした仕掛け…セリフの導入、でした。「それは君だ!」「認めます!」部分はこうして生まれました。

 歌詞の基調色をLOVEとするのは早々に決めました。縦糸に現代性、横糸にポップな昇華という2つの命題が念頭にあり、加えてダークな裏打ちの必要を感じてもいました。なぜなら、いつの時代でも優れたラブソングには隠し味として孤独への恐怖が含まれているからです。そのために裏モチーフにしたのはマンション耐震強度偽装問題の渦中にいた姉歯秀次元建築士。ちょっと桐野夏生チックな視点で彼の人となりを考察してみました。

 勿論、あくまでCMソングですから、ケータイというきわめて現代的なツールについて考えることにも多くの時間を割きました。この手のひらに収まるブツがどれだけ人の生活や考え方に影響をおよぼすのだろうかと。正直その答えは出なかったのですが、考える過程で痛感したのは、どんな最新機種を使うかよりも誰と何をコミュニケートするか、それが問題だと。仲間さんにしか歌えない理由がそこにあります。

 以上、本HPでしか読めない極私的プロダクションノーツでした。

 それでは、また来週。

 


CHEMISTRY「My Gift to You」(2002)

Vol.48「短文集~その3~」

 昨年8月以来、実に久々となる短文集であります。

・本日3月10日(金)は月曜に続いてのJ-WAVE『GROOVE LINE』(16:30~20:00)出演日です。親交の長い番組DJ兼プロデューサーのピストン西沢さんが長期休暇中ゆえ、彼の要請で代打を務めている次第。ま、秀島史香さんのファンですし。間に合う方はどうかご一聴を。ユル~い気持ちでマイクに向かってます。ちなみに直前の番組『e-STATION SHUFFLE!』(11:30~16:30)のDJ渡辺祐さんは私の元マネージャー。奇縁ですねえ。

・少し遡って3月7日、映画『黒いジャガー(Shaft)』(1971)の監督ゴードン・パークスが死去。93歳だから大往生と言ってよいでしょう。いわゆる黒人映画の泰斗とされた人物ですが、それ以前のキャリア…『LIFE』誌初の黒人カメラマン、という経歴こそ歴史的に重要なのかも。彼が撮ったモハメド・アリやマルコム・Xの写真は皆さんもどこかで目にしている筈。ちなみに彼の長男で『スーパーフライ(Superfly)』(1972)の監督ゴードン・パークスJr.は79年に飛行機事故で早世しています。息子のぶんまで長生きした父親に合掌。

・4月19日にリリースされるくんのニュー・シングル「The Day」。カップリング恒例の洋楽カバーはデバージ「I Like It」です。この曲を偏愛する私は数年前にオーディション番組『ASAYAN』に審査員として関わった時も、川畑要(現CHEMISTRY)×佐藤篤志(現EXILEのATSUSHI)の課題曲に使用したほど。今回の編曲はURUさん。彼との仕事としては平井堅「Green Christmas」以来のタイトなファンク・ナンバーとなりました。

デバージといえば。83年の美メロ・クラシック「Stay With Me」を引用したNe-Yoの「Stay」は文句なしの気持ちよさ。これとナンバーワン美メロ「So Sick」の2曲は彼の大きな名刺です。マリオの「Let Me Love You」の作者という前歴はもう不要かも。

・3月7日(火)はCHEMISTRYのデビュー5周年。その日、ファンイベントにトークゲストとして呼ばれました。川畑くんとは先日のWOWOWのグラミー賞特番で会ったばかりですし、堂珍くんは時々電話をくれたり私の家に遊びに来たりするので、ドラマチックな「THE 再会」というよりはむしろリラックスしたムード。懐かしい思い出話に花が咲きました。終了後は初期CHEMISTRYの頭脳・和田昌哉さん、川口大輔さんたちと会食。そこにスタッフとの打ち上げが終わった堂珍くんも遅れて参加、さらに黒沢薫ゴスペラーズ)、妹尾武の両氏も合流。楽しき宴はえんえんと続いたのでした。

・ペットに触れた後の手洗い、は常識以前。ミドリガメを責めないで。

・最後に。このところ作詞家志望の方からの問い合わせが急増しています。某検索エンジンの「作詞家」で本HPがヒットするそうですね。しかし、現在のところ松尾潔事務所では作品持ち込み等は受け付けておりません。悪しからずご了承ください。

 それでは、また来週。 

 

 
ゴードン・パークス、シニアとジュニアのサントラ対決。 
左 『Shaft』はアイザック・ヘイズ作品。 
右 『Superfly』はカーティス・メイフィールドね。

Vol.47「捨てる神あれば…」

 先日、ある女性シンガーのプロデュースから降りることになりました。

 彼女の仕事を始めたのは半年前のこと。別のアーティストとの仕事を経て私が強い信頼を寄せているA&Rの方から熱心に参加を請われたのがきっかけです。その後、実際に本人に会って音楽への強い意志を確認しましたし、何よりも「うた」の才能を感じました。

 秋頃から実際にオリジナル曲もいくつか作りました。待望のシングル発売が4月に決まった矢先…。先述のA&R氏が他セクションへ異動することになってしまいました。

 彼は自分がA&R職を離れた後もこの仕事を予定通りまっとうして欲しいと私に直接確認してきました。しかし私のプロデュースは、アーティストと同様に担当A&Rとの深く密な意思疎通が大前提。後任者と新たな信頼関係を築くには然るべき時間が必要です。結局、当初の制作スケジュールでは無理と判断した私は仕事を辞すことを申し出ました。大袈裟に言えば、音楽とは人と人の関係性が反映されるものという持論の実践でもあります。

 女性シンガーのマネージャーにも私の選択を伝えました。しかしマネージャー氏は「人事異動は会社が決めたことだから仕方ないし諦めもつくが、プロデューサーが降りるのは…」と。ん?非難の矛先は自分に向かっている?これって…会社の人事決定は天災、フリーのプロデューサーの辞意は人災、ということ?会社勤めの経験がない私はその論理がリアルに理解できないんだなあ。

 正直に言えば、今回の件に関して私は被害者意識を強く持っていました。自分を強く勧誘した責任者が不在となった現場にポツリと取り残された気分でしたから。ところが、そんな自分がどうやら最大の加害者と見做されているようなのです。私が甘かったか。

 「シングル発売を7月まで延期し、新任A&Rの方とコミュニケーションを深める期間を設けてくれたら…」と提案したのですが、「そんなに待てません」と即答されたのでありました…。うーむ。この女性シンガーの才能に強く魅かれていただけに残念。ま、ご縁がなかったということでしょうかねえ。

 実は昨年も私は数組の女性シンガーをプロデュース、ミックスダウンまで終えていたものさえ何曲かあるのですが、レコード会社やタイアップ先の意向ですべておクラ入りしています。ホント、女性とは縁がない。このままだとオクテになっちゃうよなあ…。

 ところが!捨てる神あれば拾う神あり。
 女性アーティストのシングルとしては実に数年ぶりの新曲が仲間由紀恵withダウンローズの「恋のダウンロード」なのであります。感謝。正直なハナシ、まさか仲間さんが扉を開いてくれるとは。音楽人生、ホントわからないもんです。

 それでは、また来週。

 


ついにジャケット完成!

Vol.46「ご無沙汰しています」

 半月ぶりの更新です。遅れました。失礼いたしました。

 実は先週から韓国ソウルに出張しておりまして。日曜日には東方神起の初の単独コンサートを観てきました。会場となったソウル・オリンピック公園内第1体育館はキャパ1万人くらい。オープニングは韓国でのアルバム第2集の冒頭曲でもある「Tonight」。以降、全員全曲大合唱にただただ圧倒されました。メンバー5人とも大健闘でしたが、なかでも印象的だったのはチャンミンのソロ・タイムかな。これまでの甘えっ子イメージを覆す、複数の女性ダンサーとの絡み。ドキドキとキラキラの3時間でした。

 さて、2週間前のグラミー賞WOWOWはご覧になりましたか?
 この数年、テレビ出演は年に数回にとどめている私ですが、この番組は楽しいのでわりと気楽にお受けしています。今年はゲスト陣(音楽評論家の妹沢奈美さん、ケミストリーの川畑くん、クリスタル・ケイちゃん、そして私)の中で私が最年長。ちょっとは責任感をもたなきゃと思いましたが、番組が始まれば楽しいばかりで。ひとえにスタッフの皆さんの頑張りのおかげです。頭が下がります。

 ケミストリーの川畑くんとはスタジオで時々会っていますが、クリスタル・ケイちゃんは何年ぶりだったのかな。オトナの女性の顔を見せる瞬間が何度かあって。神田うのさんに似てきた? 歳月を感じましたねえ。妹沢さんとは今回の番組で初めてお会いしたのですが、事前打ち合わせから本番までずっと気配りを欠かさない、才気に満ちた素敵な女性でした。音楽業界で大人気なのも当然かと納得。

 ここでマジメな話をすると、テレビでは言いたいことは3、4割くらいにとどめるようにしています。テレビじゃコトバより表情のほうが情報として強いですから。これは6年前に『ASAYAN』で半年くらい撮られ続けた経験から学習したことなんですけど。

 というわけで、以下、カメラを離れてのつぶやきを少し。
 U2、今年は5打数5安打。いや、5本塁打か。はあ。そりゃアルバムも悪くなかったけど…。このコラムをお読みになっている皆さまにおかれましては、マライア・キャリーの低打率が不憫でならないはず。昨年アメリカで最もアルバムを売ったマライア、そして2番目に売った50セントのグラミーにおける不遇ぶりは見ていて気の毒なほど。そう、50セントこそグラミーに「愛されていない」筆頭なり。マライアもグラミーが真剣に欲しけりゃJレコーズに移籍するかiPodのCMに出るのが近道でしょう…….これ、半分イヤミ、半分本気です。結論めいたことを言えば、グラミー授賞式は賞の行方よりパフォーマンスのほうがずっと気になるイベントですね。私にとって。

 さて、今週に入って嬉しいニュースがありました。
 これまで文字通りダウンロードでしか入手できなかった仲間由紀恵withダウンローズの「恋のダウンロード」が3月15日にCDリリースされることが決定したのです。出自が出自ゆえ、構造的にダウンロード・オンリーという形で世に出た曲。今回のCDリリースは着うたフル®でセールス首位を続けていることがもたらした「ご褒美」ですね。いくつになってもご褒美は嬉しいもの。いつになっても筒美京平メロディーは最高!

 それでは、また来週。 

 


私は断固支持します!

Vol.45「グラミー賞目前」

 週末あたりに感じた春の気配は、やはり気のせいだったのかな。調子に乗って髪を結構バッサリと切ったんですが、途端に寒波が戻ってきたようで。こんなことを繰り返しながら季節は過ぎていくのでしょうけれど。

 さて、洋楽ファンにとっては1年に1度のお待ちかね、グラミー賞の季節です。WOWOWの中継番組の解説で松任谷正隆さん、山田優ちゃん、ピーター・バラカンさんと一緒にLAに行ってからもう1年も経つんですね。はあ。早いなあ。

 さて、今年のグラミー賞は日本時間で2月9日に開催されます。私は昨年に続いてWOWOW特番に出演することになりました。今年は司会がジョン・カビラさんと八木亜希子さん。出演者は東京で生映像を受けてお喋りするという構成なので、番組は昨年とはずいぶんと違った趣になるでしょうが。

 ノミネーションのラインナップを見ていると、今のアメリカの黒人音楽業界はカニエ・ウェストとジャーメイン・デュプリの二強時代なんだなと実感します。もちろんスコット・ストーチやリッチ・ハリスンショーン・ギャレットといったプロデューサーもいい仕事を残しているのですが、音楽業界全体への認知度、影響力という見地においてこの二強はいま特別な次元にいますね。

 それにしてもデュプリの活動は長い。90年代のSO SO DEF(デュプリ)とBAD BOY(P.ディディ)のスリル溢れるリミックス交歓を知る者にとっては、華と艶のあるR&Bづくりで一時代を築いたディディのプロデュース業本格復帰を強く願いたいところ。でも服づくりの利益率の高さとうまみを一度知ったビジネスマン・ディディにとっては、カムバックは魅力に乏しいんでしょう。日本でも衣服販売のうまみに溺れるヒップホップ系ミュージシャンは多いからなあ。ま、それも人生ですが。

 それでは、また来週。 
 9日のグラミー賞@WOWOWでお会いしましょう。
 


Jamie Foxx 『Peep This』(1994)
昨年度オスカー受賞俳優にして本年度グラミー賞ノミネート歌手。
これは幻のデビュー盤。 
悪くはないけどねぇ…12年後に100ドル超のレア盤になるとは。 
ちなみに私は発売翌年にLAの中古盤屋で購入。6ドル99セント也。

 


J.Little『Puttinユ It Down』(1994) 
でも94年の男性ソロ名作といったらコレでしょう。
元Rude Boys。 
ちなみに私はリリースと同時に渋谷WAVEで購入。
税抜価格2150円。 現行価格はAMAZONで10ドル前後。

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